海外のB2B営業・販売の動きは、もはや「オンライン商談が増えた」では片付けられない段階に入っています。
Digital Commerce 360が紹介するMcKinseyのB2B Pulse Survey(第9回)では、B2Bの売上チャネルが「セルフサービスEC」「遠隔(メール・ビデオ会議・チャット等)」「対面」の“3分割(rule of thirds)”で構成され、しかもECが対面を抜いて最大の売上チャネルになった、という整理がされています。
海外ソースの要点:B2B購買は「高額でもオンライン」が普通になっている
記事内で紹介されている調査結果では、買い手の「オンラインでの高額発注」への抵抗が大きく下がっています。
- 73%が「1回の注文で$50,000超」をオンラインで支払うことに前向き(2年前は59%)
- 39%が「$500,000超」でもオンラインで発注可能(2年前は28%)
- 20%が「$1M超」でもオンラインで発注可能(2年前は15%)
ポイントは、買い手が「営業担当に会わないと買えない」状態から離れていることです。会う/会わないの話ではなく、買い手が“自分のペースで前に進められる状態”を求めています。
独自視点:日本の小規模事業者・営業代行が最初に整えるべきは「オムニチャネル」ではなく“前段の変換率”
海外の文脈だと「ECを強化しよう」「オムニチャネル投資を増やそう」となりがちです。ただ、日本の小規模事業者(特にサービス業)や、私たちのような小規模営業代行の現場で同じことをやると、いきなりスケールの大きい話になって空中戦になりやすい。
小規模な営業代行会社の現場感覚で言うと、最初に効くのは“チャネルを増やすこと”ではなく、次の2つの変換率を上げることです。
- 接触 → 面談(例:セミナー後の追い架電で、温度感を落とさず面談に変える)
- 面談 → 次アクション(見積・比較・稟議の段階で消えないようにする)
この話が効く条件 / 事故る条件(小規模営業代行会社の前提フィルター)
- 効く条件:ターゲットが絞れていて、断り文句への返し・提案の型・追客がある程度用意できる
- 事故る条件:現場の状況共有が薄い/無理なKPIや非現実の目標が前提/見込み客への興味関心がクライアント側にない/短期だけで結果を求める
海外の“成功事例の横滑り”がうまくいかないのは、たいてい実行条件が欠けているからです。ここを先に揃えるのが、独自視点の本質になります。
今日からできる「3分割(rule of thirds)」の日本版:まずは3つの接点を揃える
海外のオムニチャネルを、そのまま大げさに導入する必要はありません。小規模でもできる“日本版”に落とすと、やることはシンプルです。
1) セルフサービス相当:1ページで迷わせない(資料/FAQ)
問い合わせ前に、相手が自分で判断できる材料を置きます。特に「よくある質問」「料金の考え方」「進め方」は、商談の前に出したほうが面談率が上がりやすい。
2) 遠隔相当:追い架電の“型”を作る(セミナー後が強い)
セミナー後の架電は、接触自体は取りやすい一方で、面談化で詰まります。ここは気合よりも型です。
- 「感想伺い」→「次に何を持ち帰ってもらうか」まで決める
- 断り文句(忙しい/検討中/また今度)への返しを準備
- 面談設定のハードルを下げる(15分の確認枠、議題提示)
3) 対面相当:面談は“説明”ではなく“意思決定”に使う
面談で会社説明から入るほど、次アクションが薄くなります。面談のゴールを「意思決定の次の一歩」に置き直すのが近道です。
まとめ:海外の結論は「チャネルを増やせ」ではなく「買い手が前に進める状態を作れ」
McKinseyの調査が示しているのは、B2Bがオンラインに寄るという事実だけではありません。買い手は、対面・遠隔・セルフサービスを行き来しながら、自分のペースで意思決定を進めたいということです。
日本の現場では、まず「接触→面談」「面談→次アクション」の変換率を上げるほうが、再現性高く成果に直結します。海外の動きを“導入する”のではなく、“翻訳して使う”のがコツです。
参照(海外ソース)
Digital Commerce 360: More B2B buyers are willing to spend big bucks per online order(McKinsey B2B Pulse Surveyの紹介記事)
